甘いペットは男と化す
「だからっ……」
「記憶が戻っても、アカリのことは忘れない。
だから今ある気持ちも忘れない」
「……」
まだ、半分ほどしかご飯を食べていないのに、すでに胸がいっぱいになって箸が止まる。
こんなのはずるい。
好きな要素なんて、どこにも見当たらないのに……
胸がドキドキとしないほうが無理だ。
「……あたしの、どこがいいわけ?
ただ、偶然ケイを拾ったってだけでしょ」
「その偶然が生み出したんだよ。
ほかに理由は必要?出逢いは必然じゃないといけないの?」
「それは……」
確かに…そうだ。
誰と出逢うのにも、それは一つの偶然から生まれる。
たまたま同じ学校になるのも、
たまたま同期として会社に勤めるのも、
たまたま……友達に紹介される相手でも……。
「俺はアカリが好きだよ」
もうあたしの心臓は、爆発寸前だ。