甘いペットは男と化す
「どうしよう……」
意識を途絶えさせてしまった彼は、呼びこんでみても目を覚ます気配はない。
外は雪が舞い散る寒空……。
いくらオートロック式マンションだと言っても、そこまで高級マンションではないので廊下も外と同じような気温。
こんな中、外で寝てしまったら凍死してしまいそうな気がして……。
仕方ない……。
ひとまず、玄関の扉を開け、買ったばかりの荷物を置くと、もたれかかる彼を引きずりながら、なんとか自分の部屋に入れた。
この選択肢が間違っていたのかもしれない。
もしあたしが
ここで彼を招き入れなかったら
あんなにも辛い想いを知らないで済んでいたかもしれない。
あたしが出逢った彼は
確かにそこに存在しているけど、存在していなくて……
あたしは彼の記憶に
入り込んではいけない存在だった。