甘いペットは男と化す
 
「わ…かったからっ……。
 ケイの気持ちはよく分かったっ」


これ以上、ケイの瞳を見続けていると、どうにかなりそうな気がして、
ひとまず開き直って、ここは受け入れるしかなかった。


「だけどあたしはまだケイのことは好きになれてない。
 淳史と別れたばかりだし、正直年下の男の子に興味を持ったことないし……」


あたしは昔から年上好きだ。

かろうじてタメでも、大人っぽい人じゃないとダメ。


ケイがどんなに美少年で、見惚れることがあっても、それが恋心へと発展することはなくて……。


「だからあたしたちの関係は、これまでどおりにして。
 ペットなんでしょ?あたしの」

「……」

「じゃないと追い出すよ」

「アカリはひどい女だね。
 いいよ。じゃあ、ペットのままで。
 アカリの傍にいられるなら」


まだ、あまり納得のいっていない顔をしているけど、これでもあたしだってだいぶ折れたほうだ。


正直、自分に気のある男を、同居させたままでいるのもどうかと思う。

けど、きっと追い出したら、ケイが路頭に迷うだけと思うと、なかなかそれに踏み切れない。


「じゃあ、この話はおしまい。
 ほら、冷めちゃうよ!食べようよ」

「はーい」


ようやく、すでに湯気のたっていない料理に、再び手を伸ばすことができた。
 
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