甘いペットは男と化す
 
「あつっ……つつっ……」


自販機から、温かいカフェオレを取り出すと、手が冷たいせいか余計に缶が熱く感じた。

だけどなんとかプルタブを開けて、ごくっと喉を通すと、


「あー生き返るぅ……」


その温かさに、体の中から癒された。


ケイも何か飲むよね。
絶対に体冷え切ってると思うし。

何が好きか分からなかったので、王道の温かいお茶をもう一つ買った。

コートのポケットに入れて、もう一度海風の吹く浜辺へと降りていく。


……帰りたい。


寒さのあまり、そう思ったのも事実だった。


「………あれ?」


浜辺へとつながる階段を下りきって辺りを見渡しても、ケイの姿はどこにもなくて、慌てて全体を見渡せる位置まで移動した。


「ケイー?」


だけどやっぱり、ケイの姿が見えなくて、ちょっとだけ慌てた。
 
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