甘いペットは男と化す
 
「ケイっ!?」


振り返ると、不思議そうにあたしを見つめているケイの姿が……。


「え……海に入っちゃったんじゃ……」
「海に?まさか、こんな寒い中、海になんか入らないよ」


首をかしげて、丸い大きな瞳で苦笑する。

もしかしてあたし、かなり早とちりしてた……?


「じゃ、あ……どこにいたの?」
「そこ」


そう言って、指差した先は、
降りてきた階段の真下にあたる場所で……


「風が冷たくて寒いから、そこにいたの。
 意外と風があたらなくて温かいよ」

「……」


当たり前のように答えるその言葉に、思わず体の力が抜けた。


「あーもう……っ心配した」

「え?アカリ!?」


その場にへたりこんでしまうあたしに、ケイが慌てて一緒にしゃがみこむと、ただうろたえてあたしの顔を覗き込んでくる。


「ごめん。なんか心配させてた?」
「……ううん。あたしが勝手に早とちりしてただけだから」
「本当?」
「本当だよ」


「はぁ…」とため息を吐いて、ケイに向かって微笑んだ。


ほんと、自分のバカさに笑える。
 
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