甘いペットは男と化す
「ほんとだ。結構ここだと、寒さ感じないね」
「でしょ?」
それから、ケイに言われた通り、階段の下へ移動した。
そこは、決して暖かいというわけではなかったけど、風をもろ受ける浜辺に比べたら、断然マシだった。
「でもアカリが、こんなに俺のことを心配してくれたって思うと、なんだか嬉しいね」
「……」
ようやく、あたしが焦っていたことの事情を把握したケイは、さっきからニヤニヤしっぱなし。
その顔を見ていると、なんだか悔しくなる。
「俺がいなくなったら寂しい?」
首を少しだけ傾けて、じっと見つめてくる瞳。
不覚にも、ドキドキしてしまう自分がいて……
「さあ……。どうだろうね」
素直になれず、目を逸らして答えた。
自分でも驚いてた。
まさかこんなにも、ケイのことを必死に探してしまっていることに……。
ケイを探していたのは、ただの責任感。
もし何かあったら、ここに連れてきた自分に非があるのだと感じてしまうから。
ただ、それだけなんだと
言い聞かせている自分がいた。