甘いペットは男と化す
 
「何してんのっ!?」
「アカリが俺のこと、可愛いなんて言うから。
 俺が男だっていうの、分からせようと思って」
「だからってっ……」


道行く人が、みんな見て見ぬふりをしながら通り過ぎていく。

恥ずかしくて、ケイの体を押しやろうとしているのに、その体はビクともしない。


「このまま、無理やりキスすることだってできるんだよ」
「…っ」


耳元で囁かれた、甘く低い声。

いつものケイとはかけ離れた、色香を感じる。


「これでも、俺のこと、可愛いだなんて思える?」

「お、もわないっ……思わないからっ……!
 だから離してっ!!」

「しょうがないなぁ……」

「……」


ようやく、背中に回されていた腕の力が抜けて、ケイの体を離すことができた。

見上げると、そこには小悪魔な微笑みをしたケイがいる。


「俺も男なんだよ?」

「……」


にこりと微笑む顔は、やっぱりどう見ても可愛い。

けど、その後ろに見える、男としての欲望。


もしかして、今までケイをなめていたのかもしれない。
 
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