甘いペットは男と化す
「アカリ……。いかないで、お願いだから……」
「どこに?」なんて聞かなくても、それが淳史のことなんだとすぐに分かった。
さっきの、記憶を思い出しかけた時とは違う、怯えた声。
儚くて……
本当に子供みたいで……
泣きそうな声のケイの背中に、そっと腕を回した。
「だから元彼のところにはいかないって言ってるでしょ。
今はケイの傍にいるから」
さっきまで、ケイが男なんだと意識したばかりのはずなのに
また目の前にいるケイは、何も知らない無知な子供に変わってしまって、
あたしの頭が混乱してる。
だから……
「アカリと寝ると、よく眠れる」
「……そう」
まるでそれを利用されているかのように
あたしはまた、ケイと同じベッドで眠る。
「俺から離れていかないで」
その言葉が、なぜだか過去に関係しているような気がした。