甘いペットは男と化す
話は延長戦のままで、淳史は今にも泣きそうだ。
だけどそれを見ると余計に冷めていく自分は、冷たい人間なのだろうか。
「……この前の男は……やっぱり付き合ってるのか?」
少しだけ逸れた話。
「そうだよ」
嘘だけど、今は頷いたほうが話が終わると思った。
「あんな年下のっ……しかもあの顔で……
お前、遊ばれてるんじゃねぇの?」
あたしが淳史とやり直そうとしないことから、だんだんと態度が変わり始めてきている淳史。
これじゃあ、まるで負け犬の遠吠えだ。
「そうかもね。でも二股をかけるあなたよりマシ」
「あいつなら、お前は二股どころか、遊び相手くらいだろ」
プチン、と頭の中で何かが切れた。
どうしてあたしは、こんな男を三年間も好きでいたんだろう。
器の小さい、ひねくれ男。
「もうアンタと話してても無駄な時間だけ!帰るっ」
「おいっ……!」
あたしは、上着と鞄を手に取ると、さっさと一人で店を出た。