甘いペットは男と化す
 
「これからは一生朱里の傍にいる。浮気も絶対にしない。

 だから……俺と結婚してくれ」


「……」



別れている今、ありえないプロポーズ。


二股をされていなければ、泣きたくなるくらい嬉しかった。

違う。

もし二股をされていたとしても、心から愛した淳史に、もう一度こんなにも自分を求めてもらったら嬉しいはずだ。


だけど今、あたしの心が、1mmたりとも揺れ動かないのは……




「ごめん。

 あたしはもう、あなたより大切な人がいるから」




きっとケイがいるからだ。
 
< 84 / 347 >

この作品をシェア

pagetop