甘いペットは男と化す
「アカリ」
「んー?」
「これって、デートだよね」
「……」
夕方、いい加減家にいることにも飽きて、思いつきのように外へ出た。
(ケイの服を買いに行こう)
今、ケイが着ている服は、外に出るときは最初に着ていたもの。
家にいるときは、あたしが貸しているスウェットのみだった。
だから、もう数着、服があったほうがいいだろうと思い、ケイを連れて街へ出たのだ。
「そ、そんなんじゃないよ」
「でもこうやって、一緒に街中を歩くことを、デートって言うんでしょ?」
「それは……」
言われてみれば、確かにそうだ。
付き合っていなくても、その過程としてデートをするものだし。
「ほら」
「あっ……」
勝手に掴まれた手。
その手を、指先が絡むように握られ、恋人つなぎをさせられた。
「これでデート」
「……」
にこりと微笑むその顔に、もう何も言えない。
あたし、完全に振り回されてるわ……。