甘いペットは男と化す
 
「じゃあ、帰ろっか」
「うん」


店員さんの、「ありがとうございました」を受けて、お店を出た。

その瞬間、吹き付ける北風。


「さむっ……」
「じゃあ、早く手ぇ繋がないと」


ポケットに手を突っ込もうと思ったのに、さっとその手を取られた。

そしてどこで学んだのか、そのポケットをケイのダッフルコートの中へ。


「あったかいね」
「……そうだね」


あー、10代に戻った気分……。
恥ずかしくなって、一気に体の芯が熱くなった。






「……」


歩いていると、ふと手が引かれる感じがした。

不思議に思って顔をあげると、ケイがどこか一点を見つめている。


「ケイ?」

「あそこ……なんか見覚えがある……」

「え?」


そう言って、ケイが見る方向を見やると、そこには一つのカフェがあった。


どこにでもあるような、少しこ洒落たカフェ。
四つ葉のクローバーがモチーフなのか、いたるところにクローバーが飾られている。
 
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