婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
新しい一歩
すっかり 季節は秋になった。
今日は、おば様の命日…。
すすきが生い茂るこの坂道を登った先に、おば様の眠るお墓がある。
都内から車で 1時間半。
この小さな山の上にある墓地へは、途中から車を降りて徒歩で向かうしかない。
下の方に広がる海を眺めながら、圭司と並んで山道を歩く。
おば様はちょうど一年前、圭司がゆかりさんに撃たれた次の日に様態が急変してしまった。
同じ病院に運ばれていた圭司の意識が戻らないうちに、おじ様と私に看取られながら安らかに息を引き取ったのだ。
「なつ。大丈夫? 休憩する…?」
圭司は、へとへとになった私の顔を覗きこんでそう言った。
「ううん 全然大丈夫。」
息を切らせて私が言うと、圭司はふっと笑って私の荷物を自分の肩にかけた。
「ありがとう。」
圭司の優しい横顔に私の顔も笑顔になる。
ようやくお墓の前に着き、ふーと息をつく。
「あっ オヤジ来たんだ…。」
圭司がお墓に供えられたお花を見てぼつりと呟いた。
おじ様は、一年前におば様を看取った後、ずっと音沙汰がなかった。
「おじ様 どこにいるのかな…?」
「さあな…。生きてるって事だけは確かみたいだけどな…。」
圭司が苦笑いをしながら言った。
< 1 / 166 >