婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「もしもし どうした…?」
圭司が芹香さん相手に話し出した。
さっきまでの松井くんとの修羅場など、もう忘れてしまったみたいに、圭司は真剣な表情で話し続ける。なんだか 私の存在自体、軽くあしらわれているような気になってしまう。
「今から戻るから。ああ 悪いな。」
電話が終わって、再び圭司はハンドルを握った。
「会社にまた戻るの…?」
「うん なつのこと家まで送ったらそのまま行くから…。」
「今の芹香さんでしょ? 芹香さんも今日 会社に出てるの?」
「あー 実はさ、トラブル続きでまずい状況になっちゃってて芹香に助けてもらってる。」
「そう…。」
「あのさ しつこいようだけど芹香とは、なつが心配してるようなことはないからな…。」
「…うん。」
「だからさ もう 俺のこと避けるなよ…。信じ合おうって約束したよな…。」
圭司の言葉にドキッとした。
私が圭司を避けてた理由、芹香さんのことだって見破られてたんだ…。
でも どうして私がここまで苦しんでいるのかまでは、分からないのだろうけど…。
私は黙ったまま頷いた…。
圭司は、私をマンションで降ろすと芹香さんが待つ会社へと去っていった。