婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
ゴールデンウィークのブライダルフェアも今日で幕を閉じた。
「それじゃ 皆 よく頑張ってくれたな。成功を祝して乾杯!」
部長のかけ声で、打ち上げがスタートした。
前回同様、男性社員たちがジョッキを片手に盛り上がる。
「なつ 今日はあんまり飲むなよ…。俺 もう
お前の旦那なんか呼ばないぞ…。」
隣にすわった松井くんがジロリと睨んだ。
「分かってる…。でも もう すでに気持ち悪い…。」
私は、胸に手を当てながら呟いた。
最近 胃の調子が悪かったせいか、たいして飲んでいないのに吐き気がする。
「なつ 大丈夫か? ちょっと 外の空気すいに行くか?」
私はうんと頷いて、松井くんと一緒に店の外に出た。
「まあ 無理もないよな。結局 お前の旦那の本心も分からずじまいだったもんな…。信じてるなんて都合のいい言葉でごまかしたんだよ」
松井くんが私の背中をさすりながら、ぶつぶつと言い出した。
「松井くん ごめん 吐きそう…。」
私は、ムカムカと込み上げるものに耐えきれず、松井くんの膝の上で戻してしまった。
「なつ 大丈夫か…?」
「うん でも 松井くんが…ごめんね。」
私の方は、吐いてしまってスッキリしたけれど松井くんのズボンは大変なことになっている。
「ああ 俺のことは気にしなくていいよ…。」
えっ…
てっきり 文句のひとつでも言われるかと覚悟したけれど返ってきたのは優しい言葉だった。
「でも、タクシー呼ぶっていってもこれじゃあな…。なつ ちょっと付き合え…。」