婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

「松井くん…。」

「なあ 俺じゃだめか…? 俺ならなつのこと泣かせたりなんかしない。ちゃんと幸せにするから、旦那と別れて俺のとこ来いよ…。」

そう言って、松井くんは私の両手を壁に押しつけながら、首筋にキスをした。

「止めて! 松井くん…。」

震える私を無視して、松井くんの唇は私の胸元へと移っていく。

「私 松井くんの気持ちには答えられない…ごめん 松井くん…だから やめて…」

私の目から、涙が溢れてきた…。
すすり泣く私に、松井くんのキスが止まった。

「ごめん…。俺じゃだめだって分かってたんだけど…。俺 酷い男だよな。なつの為とか言って 結局 お前と旦那の仲を壊そうとしてさ」

私は、首を振った。

「ううん 私こそ 松井くんに甘えてた…いつも 私のそばにいてくれたから…。」

松井くんは、もう一度私を抱きしめた。

「なつ 俺はずっと お前の味方だから…。」

「うん。」

「なつ 送ってやれないけどひとりで帰れるか…?」

私は黙って頷き、ホテルを出た。

時刻は、深夜の2時…。
駅のロータリーでタクシーを拾い、自宅へと急ぐ。携帯には、圭司からの着信がたくさん入っていた。


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