婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
その瞬間 ふと私に魔が差した…。
今なら、圭司を試せるかもしれないと…。
私は、覚悟を決めて圭司を見上げた。
「これは 合意の上だよ…。」
私の言葉に、圭司は目を見開いた。
「あいつと寝たのか…?」
「…うん。」
私の答えに、圭司はうなだれるようにして顔を歪めた。
「どうして…。 俺のせいか? 芹香のことでそんなにお前を追い詰めたのか…?」
圭司の切ない声に胸が苦しくなる。
それでも 私は続けた。
「初めはね、芹香さんのことが不安で松井くんに相談してたの…。でも いつの間にか、松井くんのことを好きになってた…。」
私は、震える声で嘘をついた…。
「じゃあ 俺に触らせなかったのも、あいつに惚れてたからか…?」
私は黙って頷いた。
圭司は考えこむように額に手を当てながら目を閉じた。
「なつ…。 俺 今はこれ以上 お前と冷静に話せそうもない…。お前の気持ちは分かったから…もう少し待ってて…。明日 帰ったらちゃんと話し合うから…。今夜はソファーで寝るよ…。」
そう言って、圭司は私をベッドに残し寝室を出て行った。
静まり返った寝室の天井を見上げなから、私は声を殺すようにして泣いた。
私は、とんでもない賭けをしてしまった。
でも もう 後戻りはできないんだ…。