婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
翌朝 圭司は早い時間に家を出て行った。
今日は、幕張での新作発表会の日だと言っていたけれど、私のせいで睡眠もあまり取れていないだろう…。
なんで こんな大事な時に、私はあんな事を言ってしまったのかと今更ながら後悔する。
今日 圭司は帰ったら私に何と言うのだろうか…。
別れようと言われたら、私は受け入れられるのだろうか…。
仕事も休みのせいで、朝から そんな事ばかり考えてしまう。
今日は、試験勉強など到底できるはずもなく 私はひたすら体を動かし家事に没頭した…。
ふと時計を見ると7時をまわったところだった。私はキッチンに立って、シチューを作り始めた。今夜も圭司は夕食を食べるような時間には帰ってこれないだろう。早く帰ってきたところで、今日は呑気にシチューなど食べるような雰囲気でないのは百も承知なのだけれど…。それでも 何かしていないと落ち着かなかった…。
『プルルル プルルル 』
突然 家の電話が鳴りだした。
私は、急いで火を止めて受話器を取った。
「もしもし…。」
「あっ なつさん! 圭ちゃん 仕事中に倒れちゃって…とにかく 病院に来て欲しいの。」
「えっ!!」
慌てた様子の芹香さんの声に、全身の血が引いていく…。
あまり状況も呑み込めぬまま、私はタクシーに乗り込み病院へと向かった。