婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
松井くんは、私を見てクスっと笑った。
「そう言うと思った。冗談だよ…。」
「うん ごめん…。」
「それよりさ その指輪旦那から貰ったやつだろ? そんなのつけてたら、お前いつまでも前に進めないぞ…。」
松井くんが私の薬指のリングを差して言った。
これは、圭司から貰った婚約指輪なのだけれど…結婚指輪の代わりにあれからずっとつけていた。
「うん 分かってる。 葵にも言われた…。
でも つけてると圭司がそばにいてくれる気がして安心するの。別れたのに、圭司を忘れるどころか、日に日に思いが強くなっちゃって…バカだよね。私…。」
「お前 本気で好きだったんだな…。 なあ 俺が言うのもなんだけどさ、お前の本当の気持ち 旦那に伝えてみれば? まだ 俺とのこと誤解したままなんだろ…?」
松井くんが私を覗き込みながら言った。
「ううん このままでいいの…。だって 圭司は芹香さんのことが好きなんだから…。私の気持ちなんて知ったら困らせるだけでしょ…?」
「なつ…。そのことなんだけどさ。お前の旦那は、お前のこと身代わりとしてじゃなく、たぶん本気で愛してたと思う…。」
松井くんから 思ってもみない言葉が飛び出した。
「えっ… でも 松井くんが言ったんだよ。私は身代わりだって…。」
「ごめん…。 なつ。」
松井くんは、申し訳なさそうに頭を下げた。