婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
出会いの季節
いよいよ 私は入社式を迎えた。
ミラージュホテルのホテルマンとして、一歩を踏み出す日がやってきた。
私は、宴会部に配属が決まっていて、そこで経験を積みながら、夢であるブライダルプランナーを目指す。
アルバイトの経験さえない私にとって、すべてが未知の世界だ。
朝食を終えて、黒いスーツに袖を通した。
「おっ なつ 似合ってるじゃん!」
ネクタイを結びながら、圭司が言った。
「そうかな…? なんだか緊張する…。」
「そうだよな…。今日は、俺 車で出勤だから、会場まで送ってあげるよ…。確か 通り道だったから…。」
「うん ありがとう。」
バタバタしながら、圭司と一緒に玄関を出た。
「あっ なつ 今日燃えるゴミじゃん!」
すれ違うマンションの住人を見て、圭司が言った。
「あー そうだった…。なんか 忘れてると思ったんだよね…。どうしょう 遅刻しちゃうし…。」
「いいよいいよ。ゴミで人は死なないから」
圭司は、笑いながら車のキーを出した。
「さっ 早く乗って。」
私が助手席に乗り込むと、圭司はエンジンをかけ車を走らせた。
「ねぇ 圭司…。」
「うん?」
「私 仕事なんてして良かったのかな…。」
「なに いきなりどうしたの…?」
「ホテルってね 土日休みじゃないし、時間もシフト制で不規則みたいなの…。圭司とも休みが合わなくなるし…。」
「それ 今言うか~? そんなの とっくの前から分かっていたことじゃん?」