婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

拓哉さんからはメールも入っていた。

『なっちゃん 久しぶり…。実は今夜 俺の誕生日会なんだ…。今年も来てくれると嬉しいんだけど…。響さん付きでもいいからよろしくね…。」

あっ…!
そうだった…。 
今日は拓哉さんの誕生日だ。
アドレス変更の連絡をしたきり、圭司との離婚のことは、まだ報告していなかった。

「なつ どうしたの…? 」

携帯を見たまま考え込んでいた私に、葵が声をかけた。

「ごめん 今日 友達の誕生日だったの忘れてて…。私 先に帰るね…。」

「えっ! そうなの…? うん わかった。」

私は葵と田辺くんに謝り席を立った。

そして、一年ぶりに、アクアへと向かう。
去年は、私が黙って拓哉さんのお祝いに行っちゃって、圭司に怒られたんだっけ…。
懐かしさと共に、もうあの頃には戻れないんだという思いで胸が苦しくなった。

お店の前につくと、客引きをしているホストに声をかけられた。

「こんばんは 拓哉さんのお客様ですか…?」

彼は私が持っていた花束を見てにこりと笑うと私を店の中へと案内した。

お店の階段には拓哉さんの写真がNo.1ホストとして飾られていた。No.2はあのレンさんだった。

拓哉さんもあれから頑張っていたんだなあと嬉しくなる…。
圭司がホストをしていた頃が遠い昔のことのように思える。
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