婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

どれくらいの時間が経ったのだろう…。
空は、すっかり明るくなっていた。

結局 圭司は帰ってこなかった…。

圭司は、どんなに仕事が大変でも必ず家には帰ってきていた…。

まさか あれから 体調が悪化して退院できてないなんてことは…。

圭司の携帯もアドレスも全て消してしまったから、連絡もできない…。
こうなったら、直接 病院に行って確かめた方が早いかもしれない…。

私は、圭司が入院していた病院へと急いだ。

裏口から中へと入って、病室に向かった。 

確かこの部屋だったはず…。
ネームプレートを見ると、圭司ではなく違う人の名前に変わっていた。

「あの ご家族の方ですか…?」

突然 後ろから声をかけられた。
振り向くと、看護士さんが私のことを不信そうに見ていた。

「あっ 私 ここに入院していた瀬崎圭司の妻なんですけど…主人 退院してますよね…?」

厳密に言えば元妻だけれど…。
こうでも言わないと、きっと教えてくれないと思った…。

「ええ 退院してますけど…でも あなた 奥様じゃないですよね…? 瀬崎さんはちゃんと奥様が迎えに来てましたから…。」

「えっ… あっ すみませんでした。」

私は、頭を下げてその場を去った。

奥様って芹香さんのこと言ってるんだよね。

そうか圭司は芹香さんの家にいるのかもしれない…。こうなるように身を引いたのだから何もいう権利はないのだけれど…。
胸の奥がズキズキと痛みだした。

後はもう、圭司の会社に行くしかない…。
< 124 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop