婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
最終章
盛大な拍手の中 純白のウエディングドレスに身を包んだ花嫁が、幸せそうにバージンロードの上を歩いていく…。
花嫁の目からは、真珠のように光る涙がこぼれ落ちる…。
パイプオルガンの音色を聞きながら、私は新郎新婦のふたりをチャペルの後ろから見守っていた…。
「おめでとうございます。」
私は、たった今 式を挙げたばかりのカップルに声をかけた。
「ありがとう こんなに素敵な式ができたのも
瀬崎さんのお陰です。私 ここを選んで良かった…。」
新婦さんは私の手を握りしめながらそう言った。このカップルは私が初めて担当を任されたお客様だった。紺野さんに助けられながら、私も必死で今日まで頑張ってきた。
私は、彼女の幸せそうな顔を見て、この仕事について本当によかったと思った。
「そう言って頂けて私も嬉しいです。でも まだ 披露宴が残ってますからね そちらも いい披露宴にしましょうね!」
私は、そう言ってにこりと笑った。
今の私は、仕事だけが唯一の支えだった。あんな事があって、幸せそうなカップルに笑顔を向けられるか不安だったけれど、プロとしてのプライドが私に力をくれた。
ウエディングプランナーの試験にも無事合格し
仕事も任せてもらえるようになった。
泣いて、立ち止まっている時間など私にはない…。
お昼休みになって、葵と食堂に向かった。
食堂につくと、すでに田辺くんが席をキープしてくれていた。