婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

「なつ 今日こそ言わせてもらうけど、もう いい加減に別れた旦那さんのことなんて忘れなよ…。指輪だって、まだつけてるし、そんなんじゃ いつまで経っても幸せになれないよ あっちはもうすぐパパになるって言うのに…」

「おい 葵… ちょっと言い過ぎだぞ…。」

俯く私を見て、田辺くんが葵に言った。

「だって なつ ちっとも笑えてないじゃない! 」

「えっ…?」

私は、葵の言葉に顔を上げた。

「皆の目は誤魔化せても、私には分かるんだからね! なつの笑った顔 すごく悲しそうに見えるよ… 早く心から笑えるようになつも幸せ見つけようよ…。」

葵が目を潤ませながら言った。

「うん ありがとう 葵…。でもね もう 誰も好きになりたくないの…。圭司の温もりを消したくないから…忘れたくないの…。だから ごめんね このままで大丈夫だから…。」

私は、精一杯 微笑んだ。

芹香さんに、衝撃的な事実を聞かされてから二カ月が過ぎた。

私は誰にも気づかれないように、ひたすら明るく振る舞っていたけれど葵には気づかれていたようだった…。

もう 圭司は 私のことを忘れてしまっただろうか…。
あんなに酷い別れ方をした私のことなんて、思い出したくもないかもしれない…。

結局 なんの誤解も解けないまま、圭司とは終わってしまった…。

でも もう それでいい…。
圭司には、愛すべき家族ができたのだから…。


< 129 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop