婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
じわじわとこみ上げてくる涙を、私は手で擦りながら再び歩き出した。
ようやくお墓の前にたどり着き、私はふーと息をついた。
爽やかな風が吹き抜けて、木の枝がザワザワと揺れている。
私はお花を供え、お線香に火をつけた…。
そして しゃがみ込んで手を合わせた。
「おば様… ごめんなさい…。私 圭司と別れてしまいました。」
私は懺悔するように声を出して呟いた。
「私をあんなに本気で愛してくれた圭司のことを、信じることができなかったんです…浮気したなんて嘘言って傷つけて… 自分は他の人の身代わりなんだって勝手に思い込んで…自分から大切な圭司を手放しちゃいました…。身を引いたこと、今でも後悔ばかりで…もう圭司は戻ってこないのにバカですよね…私…。圭司に…会いたい…うっ ぐっ…。」
私はこみ上げてくる感情を抑え切れずに、うずくまりながら声を出して泣いた…。
その瞬間、後ろから誰かに抱きしめられた…。
「本当に バカだな… なつって…。」
耳元に聞こえてきたのは愛しい圭司の声だった。
まさかと思って顔を上げると、目を閉じながら私の頭に顔をうずめる圭司の顔が見えた。
「圭司! どうして…。」
私の声に圭司はぱっと目を開いて私を見つめた。
「なつ あいつとのことは嘘なんだな?」
圭司の真剣な声に、私は黙って頷いた。