婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「ちょっと 待って…。それ 芹香が言ったの…?」
「うん…。退院した日 圭司は芹香さんのこと抱いたって言ってた…。」
私は泣きそうな顔で圭司に言った。
「そうか…。で…なつはどう思う? 俺が芹香のことを抱いたって思う…?」
圭司は、真っ直な瞳で私を見た。
ああ どうして私は今まで、この瞳を信じることができなかったのだろう…。
こんなにも、はっきりと分かるのに…。
「ううん 思わない。」
迷わず私が答えると、圭司は優しく微笑んで私のことを抱き寄せた。
「芹香とは何もないよ…。その日は確かに、一度だけでいいから抱いて欲しいって迫られたけど、部屋には上げずにちゃんと帰したから」
「うん 信じる…。」
私は、圭司の胸の中で呟いた。
「あっ そうだ…。」
圭司が思い出したようにポケットから一枚の紙を取り出した。
それは、私が圭司に渡した離婚届だった。
「これ 破くからな…。」
そう言って圭司は、離婚届をビリビリと破き始めた。
「それ 出してなかったんだ…?」
「そうだよ なつ 気づかなかったの? 一度も区役所に行ってない…?」
「うん 圭司の苗字 変えたくなかったから。
でも 行っても変えられなかったんだね…。」
私が笑ってそう言うと、圭司もクスッと笑った…。
「万が一 日本に帰るのが半年過ぎても これなら なつとあいつは籍入れられないなと思った…。俺 悪い奴だろ…?」
圭司が悪戯っぽく言った。