婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「いや…。そんなこと言ってないって…。」
むくれる私に、慌てて言う。
「いいの。私も分かってるから。」
仕方ないもの…。
そう 圭司みたいに何でも要領よくできないのは昔から…。
だから 人一倍頑張ってしまう…。
「好きだから…。」
圭司がぽつりと呟いた。
「えっ?」
よく聞き取れず、私は聞き返した。
「なつの不器用な所とか、まわりのこと気にして色々悩むとことか、すごく頑張り屋な所とか…。全部 俺 好きだから…。」
「圭司…。」
圭司のまるで告白みたなセリフに、顔がタコのように赤くなっていく。
「つい 守ってあげたくなっちゃって、なつのこと結構甘やかしちゃったかもな…。だから
今度は俺 見てるから 出来るとこまでやってみな…。っていうことで 着いたけど…。」
いつの間にか、車は会場の前の道路脇に止まっていた。
「うん じゃあ 行ってくるね!」
そう言って、私は車から降りた。
ドアを閉めると、助手席の窓が空いて車の中から圭司が言った。
「頑張ってこいよ!」
私も圭司に笑顔で頷いた。
なんだか別れ惜しくて、手を振りながら後ろに下がっていると、ドンっと誰かにぶつかってしまった。