婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
番外編
 
圭司とサンカトレア教会で式を挙げた帰り道。

車の中は甘いムードでいっぱいだったけれど、ひとつだけ…今日こそは圭司に言うべきことがある…。

今まで我慢していたけれど、やっぱりはっきりさせておくべきかもしれない…。

それは、相変わらずステレオから聞こえてくるこの曲のことだ。

芹香さんがいなくなった今、そんなに目くじら立てるほどの事じゃないのかもしれないけれど
それにしたって…。

「どうしたの? さっきから難しい顔しちゃって…?」

圭司が運転席から私の顔を覗き込んだ。

「あのね 圭司…。」

「なに…?」 

「今 聞いてるCDのことなんだけどさ…」
 
「うん…。」

「なんでいつもかけてんの…? ちょっと 無神経だよ…。」

「えっ…」

圭司が私の言葉に驚いた表情を見せた。

「だって これ なつが好きでかけてるんじゃなかったの?」

「へ…?」

予想外の圭司の言葉に、変な声を出してしまった。

「これ 私じゃないよ…。こんなの持ってないし…。」

私がそう言うと、圭司がハッとした顔をした。

「まさか 芹香…? えっ… あいつ 勝手にCD持ってきてかけてたの…?  マジで…。」

信じられないといった圭司の顔を見て、なんだか拍子抜けしてしまった…。

「気づいてなかったの…? 圭司」
< 148 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop