婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
芹香は何度も、俺とやり直したいと言ってきた。
遅くまで仕事に付き合わせてしまった芹香を自宅まで車で送ると、必ず俺に抱きついてきた。
すぐに芹香を引き離して、車から降りるように言っても無駄だった…。
芹香は、涙を流して俺の胸の中へと入ってくる…。
俺は芹香が落ち着くまで、何も言わず彼女の背中をさすっていた。
確か、あの曲がステレオから流れるようになったのも、その頃だったような気がする。
芹香は俺に、あの時言った言葉を思い出させようとしていたのだろうか…。
その頃から、なつの様子がおかしくなった。
そして、俺が気づかないうちに、なつは俺との別れを選んでしまった。
なつを他の男に奪われたショックからか、俺は仕事中に倒れてしまった。
病院のベッドでうなされながら、俺はずっとなつの名を呼び続けた。
伸ばした俺の手を、なつのふりして握っていたのは芹香だったとは気づかずに…。
退院の日、芹香は俺にこう言った。
『私がなつさんの代わりになる…。圭ちゃんがなつさんのこと好きでも構わないから…。』
俺は、首を横に振った。
『芹香 俺はニューヨークから戻ったらなつのことを奪い返しに行くつもりなんだ…だから ごめん…。』
そう言うと、芹香は泣きながら俺の腕にしがみついてきた。