婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
『お願い もう辞めて!』
俺をかばうように芹香が覆い被さった。
『こいつ お前の女か? それなら お前にも同じ目に合わせてやるよ…。』
そう言って、リーダーの男が芹香の肩に手をかけた瞬間、俺は落ちていた棒で思い切り殴りつけ、芹香の手を引いて逃げた。
『なんで俺のことなんか助けに来たんだよ!』
そう言うと、芹香は真っ直ぐ俺の顔を見ながらこう言った。
『瀬崎くんのことが 好きだからだよ。』
それが芹香との恋の始まりだった…。
いつも 真っ直ぐにどんな苦難にも立ち向かっていく芹香…。
そんな彼女の強さが、俺を変えてくれた。
俺は、芹香のことを本気で愛した。
一生大事にしていくつもりだったけれど、高校卒業と同時に芹香は留学することになり、俺と芹香の恋はあっけなく終わりを告げた。
芹香はロシアのバレー団でバレリーナとして世界の舞台に立つことが夢だった。
当時、留学に悩んでいた芹香の背中を押したのは俺だった…。
『ありがとう。圭ちゃん…。』
そう言い残して、芹香は日本を立っていった。
別れた後も、俺は暫くの間、芹香を忘れることが出来なかった…。
だから 芹香によく似たなつに俺は惹かれたのかもしれない…。
そして、再び…6年の月日を経て、芹香は俺の前に現れた…。
芹香は、3年間の留学の後、見事ロシアのバレー団への入団を果たしたが、足のケガに苦しみバレーリーナの道を諦めたのだという。