婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
俺は、芹香と一緒にタクシーへと乗り込んだ。
「ごめんな…。先に下ろさせてもらうけど、これタクシー代だから…。」
そう言って、芹香に一万円札を渡した。
「うん…わかった。でも 圭ちゃん 仕事大丈夫たったの…? 明日まででしょ…?」
「ああ あとちょっとだし明日の朝早く来てやるよ…。」
俺の言葉に芹香は溜め息をついた。
「なんで圭ちやんがこんな大変な時に、奥さん迷惑かけるんだろう…。ただでさえ 圭ちゃのこと何もしてあげてないくせに…。」
芹香が小さな声で呟いた。
「仕事に着いたばかりだからしかたないんだ。
それに俺が何もしなくて良いって言ったんだから…。」
「だからって 酔いつぶれて男に電話かけさせるなんて…。」
「芹香…。」
「これじゃ 圭ちゃんのこと諦められないよ。
圭ちゃん 全然幸せそうじゃないんだもん…。」
そう言って、芹香は拗ねたように背中を向けて窓の方をみた。
「お客さん 着きましたよ!」
運転手の声で、俺は急いでタクシーを降りる。
「じゃ 芹香 悪かったな。 また明日な。」
黙ったままの芹香に声をかけ、俺は駅のロータリーを走った。