婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

俺は、芹香と一緒にタクシーへと乗り込んだ。

「ごめんな…。先に下ろさせてもらうけど、これタクシー代だから…。」

そう言って、芹香に一万円札を渡した。

「うん…わかった。でも 圭ちゃん 仕事大丈夫たったの…? 明日まででしょ…?」

「ああ あとちょっとだし明日の朝早く来てやるよ…。」

俺の言葉に芹香は溜め息をついた。

「なんで圭ちやんがこんな大変な時に、奥さん迷惑かけるんだろう…。ただでさえ 圭ちゃのこと何もしてあげてないくせに…。」

芹香が小さな声で呟いた。

「仕事に着いたばかりだからしかたないんだ。
それに俺が何もしなくて良いって言ったんだから…。」

「だからって 酔いつぶれて男に電話かけさせるなんて…。」

「芹香…。」

「これじゃ 圭ちゃんのこと諦められないよ。
圭ちゃん 全然幸せそうじゃないんだもん…。」

そう言って、芹香は拗ねたように背中を向けて窓の方をみた。 

「お客さん 着きましたよ!」

運転手の声で、俺は急いでタクシーを降りる。

「じゃ 芹香 悪かったな。 また明日な。」

黙ったままの芹香に声をかけ、俺は駅のロータリーを走った。
< 34 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop