婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「うーん 心配してたような、してないような…?」
「なにそれ…。」
松井くんは私の言葉に失笑した。
会議室の中へ入ると、長いテーブルが長方形の形に並んでいた。
私が適当な椅子に腰掛けると、松井くんは床にダンボールを置き、私の隣の椅子にすわった。
えっ?
こんな広い会議室で、この距離にすわるの…?
緊張する私などお構いなしに、松井くんはいつもの口調でしゃべり出した。
「おまえ 手が遅そうだから必死でやれよ…。俺ばっかりやらせるなよ…。」
そう言いながら、箱からパンフレットと封筒を取り出し、テーブルの上に置いた。
「わかってるよ。」
そう言って、私はパンフレットを折り始めた。
松井くんは言うだけの事はあって、とにかく手が早い…。 こんなスピードじゃ、折り目なんて曲がってるんじゃないかと盗み見たけれど、私よりも綺麗に折れていた。
私も負けじと全神経を集中させて、ひたすらこの単純作業に没頭した…。
「ふー 終わったな…。」
腕を思い切り伸ばしながら、松井くんは欠伸
をしていた。
「うん 結構 早く終わったね…。」
私は、出来上がった封筒の束をさっきの箱につめていく。
「それじゃ 時間も余ったことだし、明日の予行練習でもしとくか。」
松井くんはそう言うと、会議室のドアに手をかけ、カチャっと鍵をかけた。