婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「松井くん? 何で鍵かけたの…?」
不信がる私の言葉を無視して、松井くんはゆっくりとこちらに向かって歩き出した。
私は思わず椅子から立ち上がった。
松井くんは私の前までくると、私を見下ろすようにしてじっと見つめた。
「えっ 何…? 松井くん?」
「松井くんじゃなくて、健人って呼べよ…。」
甘い声で松井くんが、私の耳元で呟いた。
「ちょっと いったいどうしちゃったの…?」
さっきまでとは別人のような松井くんに、私は
戸惑いながら後ろにあとずさる…。
すると松井くんは、はーとため息をついた。
「明日の予行練習って言っただろ…。 明日は俺達以外 みんな本物のカップルなんだぞ。ちゃんと恋人っぼく見えるように真面目に練習しとかないとダメだろ?」
そうだ…。
松井くんって こういう人だった…。
やるとなったら、何でも本気で取り組むんだった…。
「わかったけど…。どうやって練習するの? 」
「そうだな… じゃあ 今から俺のことお前の恋人だと思って甘えてみろよ…。」
「甘えるって…。そんなこと松井くんに出来ないよ…。」
「だから 松井くんじゃなくて健人…。俺もなつって呼ぶから。ほら なつ 俺のこと大好きな旦那と思って、いつもやってるようにしてみろよ…。」