婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
そんな無茶なと思いながらも、松井くんの性格じゃ、やるまで帰してくれそうにない。
私は言われた通り松井くんのこと圭司だと思いながら、その胸に飛び込んだ。
「健人…。」
私はそう呼びながら、松井くんの胸に顔をつけ背中に手をまわし、ぎゅっと抱きついた。
思った以上に甘ったるい声が出てしまい、自分でも恥ずかしくなる…。
松井くんはそんな私を抱きしめるでもなく無反応のまま立ち尽くしていた。
ん…?
なんか私、やり方間違えた…?
そう思っていると、松井くんの胸の辺りからドクドクという心臓の音が聞こえてきた。
「松井くん…?」
私が顔を上げると、松井くんは真っ赤な顔をして顔を背けた。
「見んなよ…。そんなに本気でこられたら照れるだろ…。もういいから 離れろよ…。」
そう言われて、私までかぁーと顔が熱くなる。
「だって 松井くんが言ったんじゃない…。」
二人して真っ赤になっていると、突然、会議室のドアを誰かがノックした。
「はい 今、開けます。」
素早く松井くんが、ドアの方へと駆け寄り鍵を開けた。
「なんだ 健人じゃん! あれ なっちゃんも一緒…? お前ら 鍵かけて何やってたんだよ。」
そう言って、会議室に入って来たのは田辺くんだった。