婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
挙式への想い
あっという間に年が明けて、私は卒業に向けて卒論に取りかかっていた。
提供期限は3月3日…。
皮肉にも、私達の挙式の日だった。
あと 1ヶ月もない…。
ちょっと甘くみてたかも…。
私は、図書館から借りてきた本に埋もれながら、深いため息をついた。
「ただいま!」
ガチャと玄関のドアが開く音が聞こえ、圭司が帰ってきた。
大変 もう こんな時間…。
私は慌てて、キッチンに向かった。
「お帰りなさい! ごめんね 今、急いで作るから…。」
時計は夜の10時をまわったところだった。
すっかり夕食の支度も忘れ、卒論に夢中になってしまった。
圭司は、スエットに着替えるとキッチンに入ってきた。
「なつ 卒論大変なんだろ…? 今日は俺がご飯作るから…。何すればいいかだけ教えて。」
そう言って、圭司は私から包丁を取り上げた。
「そんな 圭司だって仕事で疲れてるのに、そんな事させられないよ…。」
今度は、私が圭司から包丁を取りあげる。
何度か包丁を取りあいながら圭司が言った。
「なつ 危ないから…。わかったこうしよう。今日はピザでもとろうよ。」
「うん…。そうだね…。」
注文の電話を入れる圭司を見ながら、申し訳ない気持ちで一杯になった。
「まさか 落ち込んでる? もう なつは真面目過ぎ…。こういう時はさ 手を抜いたっていいんだよ…。」