婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
心の隙間
結局 私はあれから一睡も出来なかった…。
気がつけば、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた…。
私は、まだぐっすりと眠っている圭司の顔をじっと見つめた。
その綺麗な寝顔にそっと手で触れてみる…。
こんなに近くにいるのに、私との距離はどんどん離れていくようで、不安と焦りが募っていく。
初めて芹香さんの存在を知ったあの日から、いつも心のどこかで引っかかっていた。
過去に愛しあっていた二人が、普通の同僚になど戻れるものだろうか…。
『結婚してたって関係ないよ…好きになるときは好きになるんだから…。』
昨日の圭司の言葉は、十分過ぎるほどのダメージを私に与えた。
私は圭司を起こさないようにそっとベッドから出ると、キッチンへ向かった…。
エプロンをつけて、朝食の準備に取りかかる。
久しぶりに圭司に朝食でもと思うのは、少しでも圭司の気持ちを繋ぎとめたいからなのかもしれない…。
冷蔵庫を開けて食材を取り出していると、突然背後から圭司に抱きしめられた…。
「おはよう なつ…。今日はお休みなんだからゆっくりしてていいのに…。」
圭司は、私の肩に顔をのせて耳元で囁いた。
「おはよう…圭司…。そうやって圭司が甘やかすから、私どんどんダメな奥さんになっちゃうよ…。朝食くらいこれからはちゃんと作るから…。」
「ありがとう…。でも 朝食はホントに作らなくていいよ。この時間に食べちゃうと昼に抜けられないとき、辛いからさ…。車の中で食べるから平気…。」