婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
サンバサダーホテルへ着くと、すでに松井くんはラウンジのソファーにすわり、コーヒーを飲んでいた。
「おせーよ。1時って言っただろ…!」
松井くんは不機嫌な声で私に言った。
「ごめんね。ちょっと迷っちゃって…。松井くんが現地集合にするから…。」
「なんだよ 俺のせいかよ…。こっちは変な噂立たないように気を使ってやったのに…。」
「でも ほんのちょっと遅れただけじゃない」
いつもの調子で言い合っていると、隣のテーブルにいたカップルが私たちを見てヒソヒソと話し出した。
「なつ 俺たち今からラブラブカップルだから…。もう その生意気な口はしばらく閉じとけよ…。」
「わかってるわよ…。そっちこそ ちゃんとやってよね…。」
私達は、ラウンジを出てエレベーターホールへと歩いた。
ブライダルフェアの会場は 20階とボードに書かれていた。
エレベーターを待つ間、松井くんがふと私の首筋に目をやった。
その瞬間、松井くんは目を見開いた。
「なつ おまえ なんでこんなものつけて来たんだよ!」
「えっ? なにが…?」
きょとんとする私を見て、松井くんがはーっとため息をついた。
「キスマークだよ…。首筋についてる…。」