婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
20階に着くと、何組かのカップルが受付の所に並んでいた。
「ブライダルフェアにお越し頂いたお客様でしょうか…? 」
スーツを着た女性のスタッフが私達に声をかけてきた。
「はい。そうですけど…。」
松井くんが答えると、スタッフの女性はにこりと笑った。
「では、こちらへどうぞ。」
そう言って、私達をカウンターの席に案内した。
「では、こちらの用紙にご記入になってお待ち下さい。」
女性スタッフはおじぎをすると、他のカップルの所へ行ってしまった。
松井くんは、さっそく 受付用紙にスラスラと記入していく。
「なあ 交際期間は1年でいいよな…?」
「えっ? あ いいんじゃない…?」
「お前 誕生日いつ?」
「10月15日…。」
「よし じゃあ 結婚予定日はお前の誕生日でいいよな…?」
「別に日にちまで指定しなくてもいいんじゃない?」
「いいんだよ。この方がリアリティーあるだろ? ほら あとはお前の住所だけだから…。」
松井くんに言われ、私は住所欄に記入する。
他の所は、松井くんの几帳面な字で全て埋められていた。
受付を済ませた私達は、さっそくチャペルへと案内された。
「すごく素敵!」
私は思わず声をあげた。
大理石に引かれた赤いじゅうたんの上をゆっくりと歩きながら、チャペルの中を見回した。
バージンロードの両脇の席にはお花が飾りつけられ、床には花びらが散りばめられていた。
私は仕事のことなどすっかり忘れて、この幻想的な世界にひとり浸っていた。