婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
私は勧められたウエディングドレスにさっそく着替え始めた。
「あっ まずい…!」
私は更衣室の鏡に映った自分の姿を見て、愕然としてしまった。
ぱっくりと空いた胸元から、圭司につけられたキスマークが丸見えになっていたから…。
どうしょう…。
ファンデーションもバックの中だし…。
私がアタフタしているうちに、カーテンが開けられてしまった。
「いかがですか~? あら まあまあ ほんとに仲がよろしいことで…。」
おば様スタッフはクスクスと笑って、タキシード姿の松井くんの肩をポンと叩いた。
「では あちらでお写真を撮ってきて下さいね…。」
そう言い残して、おば様スタッフは奥へと行ってしまった…。
恐る恐る松井くんを見ると、私の事を凄い顔で睨んでいた…。
「はは ごめんね~。」
「ごめんね~じゃねーよ。お前のせいで俺がへんな目で見られたじゃねーかよ。ったくもう」
そう言って、松井くんが呆れたように笑った。
「それより なつ そのドレスすごく似合ってるな…。」
松井くんは、私の頬に手を当ててぽつりと呟いた。
えっ これもお芝居…だよね?
不覚にも、松井くんにドキッとしてしまった。
「健人も素敵だよ…。そろそろ 写真の方にいかないとね。」
私は、誰に対しての芝居なのだろうと疑問を抱きつつ、松井くんの腕を掴んで廊下へと出た。