婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
圭司の言葉に、じわじわと涙がこぼれてきた。
こんな事で泣くなんて子供みたいで恥ずかしいのに、なかなか涙が止まってくれない。
「なつ おいで…。」
圭司は、私を連れてソファーにすわらせた。
「俺 なんか 嫌な事言っちゃった?」
心配そうに覗きこむ圭司に、私は首を横に振った。
「私ね 昔からひとつの事しか出来なくて…。
卒論も思ったほど進まなくて、式の日までに終わらなかったらどうしようって…そればかり考えてたら家事とか全然手につかなくて…。こんな 自分が情けなくなって」
私は、俯いたまま小さな声で言った。
「なつはさ いつも 深く考え過ぎて自分を追い込むんだよな…。」
圭司は私の頭に手を置いて優しく笑った。
「なつが学生なのに結婚しようって言ったの俺だし、卒論とかあるのに式挙げようって言ったのも俺なんだから、なつは何も悪くない…。全部俺のせいなんだから、家の事なんて何も気にすることないよ。」
「でも…。」
「なつは俺の奥さんの前に学生が本業なんだから、ちゃんと卒業しないとな…。 いいじゃん俺と教会は逃げないんだし、いざとなったら また申し込もうよ。」
圭司の言葉でスーと体が軽くなっていく。
暗い穴の中でもがく私に、いつも光をあてて救い出してくれるのは圭司だ…。
私は、顔を上げて頷いた。