婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

「松井くん ごちそうさま…。夜景も綺麗だったし、料理もおいしかった…。ありがとう。」

エレベーターの中で私がそう言うと、松井くんが照れくさそうに笑った。

「お前もたまには、可愛いこと言うのな…。」

「そりゃ 私だってお礼くらい言えるわよ。」

「それより お前 旦那から返事来たの?」

松井くんの言葉で、はっとして携帯を見た。
でも 返事はおろか既読もつかない…。

「ううん 今日は諦めてひとりで帰るよ。」

「ふーん まっ プラザホテル通り道だしちょっと覗いて行けば…?」

「うん そうだね…。」

私達はホテルを出て、すっかり雨の上がった夜道を歩いた。

今日は、随時長い時間 松井くんといたな…。
松井くんとは、憎まれ口を言い合いながらも一緒にいると結構楽しい。
私はひとりっこだから分からないけど、きっと兄弟がいたらこんな感じなのかな…?
松井くんの横顔をちらちら盗み見ながらそんなことを考えていた。

「ここだろ? プラザホテル。」

そう言って、松井くんは私の腕を引っ張りながら正面玄関の方へ歩き出した。

「なあ あれ お前の旦那じゃねーか?」

松井くんに言われてホテルの玄関を見れば、ちょうど圭司がハイヤーに乗り込む男性を見送っているところだった。
< 61 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop