婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
私は部屋着に着替えて洗面台へと向かった。
鏡に映る自分の顔をそっと手で触れた。
これなら浮気の方がまだましだ…。
こんな残酷な愛され方をされるのなら…。
私はふーと大きなため息をついた。
浩太さんの言うとおり、圭司は私を裏切るようなことはきっとしていないと思う。
そして これからも恐らくそうだろう…。
圭司が昨日 私に言った言葉に嘘はないはずだから…。
でも それは私を選んでしまった責任を感じてのことだろう…。
手の届く所に本物の芹香さんがいるのに、指一本触れられないことに圭司も苦しんでいるはず…。
そして 芹香さんを想いながら私を抱くのだろう…。
知らなければよかった…
結局 私はどうしたって圭司から離れられないのだから…。
芹香さんの身代わりでも何でも、圭司のそばにいたいと思っている。
知らない振りさえすれば、圭司が芹香さんの所へ行くこともない。
私は、卑怯な手を使ってでも圭司と芹香さんを一緒になどさせたくない。
私は、偽物の愛情を受けながら生きていこう。
鏡の中の自分を見つめながら、そう決心した。
この日から、私と圭司の歯車が大きく狂いだしていった。