婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「それで ちゃんと旦那には言ったのか…?」
「ううん 言わないつもり…。だって そんなこと圭司に言ったら、私と別れようとするかもしれないでしょ… だったら 芹香さんの身代わりでもいいと思ってる。大丈夫だから…。」
私の言葉に松井くんがめ息をついた。
「何言ってんだよ そんな辛そうな顔して全然大丈夫じゃねーだろ。ちゃんと話し合えよ。」
「本当にいいの…。圭司はちゃんと私のこと愛してくれてるし、芹香さんのことも拒んでくれてるみたいだから…。圭司は私を裏切るようなことはしないから…。」
私の言葉を聞いて、突然 松井くんがしゃがんだまま 私に近づいてきた。
「なあ お前の旦那とあの女さ 浮気しないって保証どこにあんの…? 一緒に仕事してたらさ こうやって密室にふたりきりになることだってあるだろ…。 好きな女に迫られて拒み続けることなんてできんのかな…? 今は何もないかもしれないけど、いつか あの女のこと抱くかもしれないよ。それでも 何も言わずに黙ってることなんてできんのか…?」
松井くんに言われて、私の目から涙が溢れてきた。
私の涙を見て、松井くんが私を抱きしめた。
「ごめん 悪かった。泣かすつもりはなかったんだ…。」
「うん 分かってる。」
「ごめんな…つい俺もムキになって…。でも俺はお前の味方だからそれだけは忘れんなよ。お前が辛いときは俺がそばにいてやる。泣きたい時はいつでも胸をかしてやるから…俺のこと利用しろよ。」
私は戸惑いながらも、松井くんに抱きしめられたまま、しばらく泣き続けた。