婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「なつ 家についたよ…」
その声に、ゆっくり目を開ければ目の前に圭司の顔があった。
「うん。ごめんね 寝ちゃたみたい…。」
本当は起きていたけれど、私は笑顔で嘘をついた。
圭司は私の頬に手を触れた。
いつもなら 必ず圭司はこのタイミングでキスをする…。
私は、その空気を壊すかのように車のドアに手をかけ、圭司から目をそらした。
圭司は一瞬戸惑いながら、近づけていた顔を私から離した。
少しだけ気まずい雰囲気のまま、エントランへと向かった。
久しぶりに圭司と一緒に、玄関のドアを開けた。
「なつ 先シャワー浴びてくれば…?」
圭司がリビングの電気をつけながら言った。
「あ ううん 私 明日のタイムスケジュールの確認しなきゃいけないから、圭司が先でいいよ…。」
「そっか 大変だな…。」
圭司は私の頭に手をかけると、リビングを出て行った。
いつもの私なら、家についたら真っ先に圭司に抱きついて甘えていたはずだけど、どうしてもそんな気になれなかった…。
私がシャワーから出ると、圭司はソファーにすわってビールを飲んでいた。
「なつ 出たの…? こっちおいで…。」
圭司に言われて隣にすわると、すぐに圭司は
私を抱き寄せた。
「ずっと なつにこうしたかった…。」
圭司の掠れる声が、耳元に響く。
私は、圭司の胸の中で目を閉じた。
圭司のキスが次第に首筋から唇へと移った。 その瞬間、私の体はビクッとなって圭司の体を思い切り、押しのけてしまった。