婚約者はホスト!?②~愛が試される時~
「なつ…?」
圭司が驚いて私の顔を覗きこむ。
「ごめんなさい…。」
謝る私を見て、圭司がため息をついた。
「そんなに俺に触られるの嫌…? 気づいてたよ…。なつが毎晩俺のこと避けてるの…。抱きしめても抱きしめても、なつは俺の腕の中から出ていくんだよな…。眠ってるふりして…。」
「それは…。」
「それは何…? ちゃんと教えてよ…。寝たふりしてまで俺から逃げる理由…。もしかして 芹香のことまだ気になってる…?」
私は、心の中でビクッとした。
芹香さんのせいという事だけは、圭司に知られたくなかったから…。
「違う…。」
私は、大きく顔を横に振った。
「じゃ 何…?」
圭司の鋭い目が容赦なく私を追い込んでいく。
「明日のことで… 明日のガーデンウエディングのことでずっと頭がいっぱいだったから…本当よ 信じて…。避けてるつもりなんてない」
圭司は、必死に訴える私を黙って見つめていた…。
「そう…。なつがそう言うのなら信じるよ。明日も早いんだろ…? もう 寝ないとな…。」
そう言った圭司の顔は悲しげだった。
その夜は 圭司は一度も私には触れてこなかった。そうさせたのは私なのに、圭司が私から離れていくようで胸が張り裂けそうになる。圭司に抱きしめられずに朝を迎えたのは、この日が初めてだった…。