誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜
「忘れ物、思い出した。」
課長がそう言った瞬間
重なった唇。
1秒もない触れるだけのキス。
驚いて、硬直したままの私に彼はやっと優しく笑った。
「行ってらっしゃいのキスをもらうのを忘れてた」
…
…
「えっ?」
忘れ物がそんなもの?
でも確かに…
そう
大切なことを忘れてた。
「課長…会えないの。淋しいですけど、課長が新しい環境で大変なの分かってます。
だから頑張って下さいね。
でも…」
「でも…?」
「できれば毎日、課長の声が聞きたいです。」
「…俺も同じだよ。」
課長の優しい笑顔に
凍り始めてた心が温かさを取り戻して行くのを感じた。
「できれば…その…」
「なんですか?」
「俺からじゃなく…果穂からもして欲しい」