誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜
「重大な規則違反」に対して思い当たる節はない。
あったとしたら…社内恋愛くらいだ。
でも、それが本社にバレるはずなんてない。
「あの…本社に電話をかけて規則違反の内容を確認しても…いいですか?」
「果穂さんにも心当たりがないんですか…?
それなら…」
新井課長が会社の電話から本社に連絡をいれてくれるのを
ぼんやりと眺めていた。
なぜ、会社を辞めなきゃいけないのか…
この職場を失ったら
私には何もない。
ここを辞めたくない…。
動揺で混乱して不安で
真島課長の顔が浮かんだけれど…
「果穂さん、代わって下さい」
どうやら、人事と連絡がついたみたいで
差し出された受話器を前に
気をしっかり持たなきゃいけないと歯を食いしばった。