誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜
ダンッッッ‼‼
怒っているのか、酔っているのか…稲葉先輩とお酒を飲みに行ってたはずの課長が、連絡もなしに私の家へおしかけてきたかと思うと
突然、壁を叩きつけて私を見おろした。
壁と課長の間に挟まれた私…
ねえ
これってもしかして…
もしかすると…
今時女子の憧れ‼壁ドンじゃないのっ⁈
思わず胸がきゅんきゅんして、火照る頬を隠す事なく、私を見つめる課長の目を見た。
何やら、眉間に皺が寄ってるのは気のせいだろう…。
わざわざ、飲み会の最中に押しかけてくるなんて…
丁度、読んでた漫画の主人公も、意地悪だけど気になってしまう幼馴染に壁ドンをされていた。
そんなシーンを見て、1人でキュンキュンしていた私の気持ちが、遠くにいた課長に伝わっていたなんて…
恐るべし相思相愛‼
ドキドキしながらゆっくり瞼を伏せた時だった…。
「お前は一体、なんちゅー話しをみんなにしてるんだ⁈‼」と怒鳴り声をあげた課長…。
あれ?
ここってときめく場面じゃなかったの?
あまりにも急に怒鳴れた私は、口をポカンと開けて、ぐだぐだと私を叱りつける課長の言葉を右の耳から左の耳へと受け流していた…。