誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜
ツノこそは見えないものの、鬼の形相で私を叱りつける課長に、いつの間にか正座をさせられ…
かれこれ10分位が経とうとしているのに…
課長の言葉はまるで、打ちっ放しのマシンガンのように止まらない…。
課長が、息継ぎををした時を狙って私は口を開いた。
「あの…課長?
もっと話しを短くしてもらってもいいですか?」
右手を胸の、位置で挙げながら聞くと…
なぜか課長は絶句したまま今度はピクリとも動かなければ、息づかいさえ聞こえてこない。
「課長…?」
もう一度声をかけると、課長はその場に突っ伏して嘘泣きを初めてしまった。
「なんでだよ?なんで俺がこんなに真剣に話してるのにちゃんと聞いてないんだよ…」
嘘泣きなんかをしている課長はまるで、小さな子供みたいで可愛い。
「…大丈夫ですよ」優しく声をかけながら彼の背中を摩ると
勢いよく顔をあげた課長が、キッと私を睨みつける。
「お前のせいで大丈夫じゃないんだよっ⁈
果穂っ‼
お前、この間数人と夕飯を食べに行った時に、周りに何を喋ったんだ?」
ようやく、課長の怒りの理由を理解した私はギクリとして、口笛を吹きながらそっぽを向いた。