誘惑したい上司の条件〜真島果穂になりたくて〜


「童貞だな…」

その話しを聞きながら真奈美がポツリと呟いた。


「えっ?

…そんなはずないよ。だって課長は私と違って過去に交際相手がいたって前に聞いたことあるし…」

「いや、好きな女の手前、見栄を張った可能性があるな…」

「見栄…?」

私が聞くと、真奈美はもずく酢を食べながら頷く。


「男だって好きな女の前ではかっこ良く見せたいものよ?

見栄よ見栄。見栄に決まってるわ!」


なんとなく説得力のある真奈美の言葉に私は小さく頷いた。



でも


見栄だったとしても…

38の男が、初めて彼女を抱く瞬間に鼻血を吹いて倒れるか…?


自然と真奈美と目が合う。



「情けねー…」


2人同時に呟いた。


気が合う友人というのは、こういう時にこそシンクロしてしまうもんだと


呟いた後にまた目が合って

苦笑いが浮かんだ…。



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